つわりがない人は大丈夫?割合約20%の理由と流産リスク・受診目安を徹底解説
妊娠がわかったのに吐き気も食欲の変化もなく、「赤ちゃんはちゃんと育っているの?」「つわりがないと流産しやすいの?」と不安になっていませんか。周囲の妊婦さんがつわりに苦しんでいると、自分だけ症状がないことを心配してしまう人もいるでしょう。
産婦人科医が監修する「ムーニー」や「たまひよONLINE」の妊娠情報では、つわりを経験しない妊婦さんも一定数いることが紹介されています。つわりを経験する人は約80%とされ、目安として約20%はつわりをほとんど感じないという説明が広く使われています。ただし、割合は調査方法や症状の定義によって異なります。大切なのは、つわりの有無だけで赤ちゃんの健康状態を判断しないことです。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 約5人に1人:つわりがない、またはほとんど感じない妊婦さんもいます。
- 赤ちゃんへの影響:つわりがないことだけを理由に、胎児の発育不良や流産を判断することはできません。
- 受診の目安:出血や強い腹痛などがあれば速やかに産婦人科へ。症状がなくても、定期的な妊婦健診は欠かせません。
【つわりがない人は約5人に1人】割合と特徴を正しく理解する
つわりがないことは、決して珍しい妊娠経過ではありません。まず知っておきたいのは、つわりの有無や程度には大きな個人差があるという事実です。
つわりを経験する人は約80%、経験しない人は約20%が目安
ユニ・チャームの「ムーニー」が掲載する産婦人科医監修の記事では、つわりを経験する人の割合について、約80%という数字が多くの論文で使われていると紹介しています。一方、文献によっては50~80%、50~90%などの幅があります。
この数字をもとにすれば、妊婦さんの約5人に1人は、つわりを経験しないか、ほとんど自覚しない計算になります。ただし、これはすべての妊婦さんに当てはまる確定的な全国統計ではありません。吐き気だけを対象にするのか、嘔吐や食欲の変化、眠気なども含めるのかによって結果は変わります。
また、「つわりがない」と感じていても、実際には軽い症状が出ているケースもあります。妊娠初期は、強い吐き気だけでなく、眠気、だるさ、においへの敏感さ、食べ物の好みの変化などが現れることがあるためです。
つわりがない人に共通する性格や体質はある?
つわりがない人には、特定の性格や体質があるのでしょうか。結論からいえば、つわりの有無だけで、その人の性格や健康状態を判断することはできません。
ムーニーの記事では、軽い吐き気があっても食事を取れば治まる人や、眠気があっても十分に休める環境にいる人など、症状が日常生活に影響しにくい例が紹介されています。本人が症状を強く意識せず、「つわりがなかった」と感じることもあるのです。
一方、「つわりがない人はストレスに強い」「妊娠によるホルモン変化への順応性が高い」といった説明も見かけますが、これらは医学的に確立した判定基準ではありません。つわりがないから精神的に強い、健康状態が優れている、と考える根拠は十分ではないのです。
妊娠中の症状を他人と比較するよりも、自分の体調と妊娠週数、産婦人科で確認された妊娠経過を基準に考えることが大切です。

【つわりがない理由】妊娠ホルモンと症状のメカニズム
つわりがある人とない人の違いは、どこから生まれるのでしょうか。妊娠に伴うホルモンや体の反応が関係していると考えられていますが、つわりの仕組みには、まだ解明されていない部分も残っています。
hCGやエストロゲンなどの変化が関係する
妊娠初期には、胎盤の形成に伴ってhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが増加します。hCGは妊娠の維持に重要な役割を果たすホルモンで、つわりとの関連も研究されています。
また、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの変化も、妊娠中の体調に関係します。消化管の動きや胃の不快感、食欲の変化などには、複数の生理的要因が関わっていると考えられています。
ただし、特定のホルモンが増えれば必ずつわりが起きるわけではありません。血液中のhCGが多いか少ないかだけで、つわりの有無や赤ちゃんの健康状態を判断することもできません。
2024年に掲載された研究で注目されたGDF15
つわりのメカニズムについては、従来から研究されてきたhCGなどに加え、GDF15というタンパク質にも注目が集まっています。
国際科学誌「Nature」には、2023年12月13日に公開され、2024年1月に刊行された研究論文「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」が掲載されました。この研究では、妊娠中の吐き気や嘔吐、特に重症の妊娠悪阻とGDF15の血中濃度との関連が調べられています。
研究では、母体の血液中に存在するGDF15の大部分が胎児・胎盤に由来することや、妊娠前からの母体のGDF15への感受性が症状の重さに関係する可能性が示されました。つまり、つわりの程度は妊娠中のホルモン環境だけでなく、体が特定の物質にどう反応するかによっても変わると考えられます。
もっとも、この研究は、つわりがない人の特徴をすべて説明したものではありません。GDF15だけで、個々の妊婦さんの症状や妊娠経過を判定できる段階にも至っていません。
つわりがない原因は、ひとつに決められない
つわりの有無には、ホルモンの変化、個人の生理的な感受性、症状の現れ方など、複数の要素が関係していると考えられます。しかし、つわりがない理由を一つに特定できる検査や、症状の有無だけから原因を判定する方法は確立していません。
「体が妊娠にうまく順応しているから」「赤ちゃんが元気だから」といった説明は、安心材料として耳にすることがあっても、医学的な診断結果とは別のものです。症状が軽いこと自体を問題視する必要はありませんが、症状がないことだけで妊娠経過が順調だと判断するのも適切ではありません。
【妊娠初期につわりがない】赤ちゃんは大丈夫?胎児の成長と健診
妊娠初期につわりがないと、赤ちゃんが無事に成長しているのか気になるものです。特に、まだ胎動を感じられない時期は、体の変化が少ないことが不安につながりやすくなります。
つわりがなくても赤ちゃんが順調に育つことはある
妊娠中につわりを一度も経験しない人や、軽い症状だけで終わる人はいます。ベネッセの「たまひよONLINE」が2019年1月21日に掲載した記事でも、妊娠中につわりがない場合について、妊婦健診で異常がなければ赤ちゃんが元気に育っているケースがあると、助産師の解説を交えて紹介しています。
重要なのは、つわりがないことと、胎児の発育に問題があることは同じではないという点です。吐き気や嘔吐は妊娠中に起こる症状のひとつであり、赤ちゃんの成長そのものを直接示す指標ではありません。
反対に、つわりが強ければ必ず赤ちゃんが健康に育っているという意味でもありません。症状が重い場合には、母体の脱水や栄養不足を防ぐために治療が必要になることもあります。
赤ちゃんの成長は何で確認する?
胎児の成長や妊娠の継続を確認する際には、妊娠週数に応じた超音波検査などの診察が重要です。妊娠初期には、妊娠の位置や胎嚢、胎児の大きさ、心拍などを、確認できる時期に応じて評価します。
ただし、妊娠週数が早いと、初回の検査では確認できる情報が限られることもあります。その場合は、医師の指示に従って適切な時期に再診し、経過を確認します。
つわりがない人が妊婦健診で意識したいポイントを整理すると、次のとおりです。
| 確認する項目 | 確認する内容 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 妊娠週数 | 最終月経や超音波検査などをもとに評価 | 妊娠週数によって、確認できる発育の情報は異なる |
| 胎嚢・胎児・心拍 | 妊娠の位置や胎児の成長、心拍など | 確認できる時期には個人差があり、早い時期は再診が必要な場合もある |
| 母体の体調 | 出血、腹痛、発熱、服薬、持病など | つわりの有無以外の症状も診察で伝える |
| 今後の健診計画 | 次回受診の時期や追加検査の必要性 | 症状がなくても、指示された妊婦健診を継続する |
定期健診で妊娠経過が確認されていれば、つわりがないことだけを理由に過度に心配する必要はありません。一方、まだ産婦人科で妊娠の状態を確認していない場合は、つわりの有無にかかわらず、適切な時期に受診してください。
【つわりがない人と流産リスク】研究が示すこと、示さないこと
「つわりがないと流産しやすい」という情報を見て、不安が強くなった人もいるかもしれません。この疑問には、つわりと妊娠喪失の関連を調べた研究を踏まえながら、慎重に答える必要があります。
つわりの有無だけでは流産を判断できない
妊娠初期の流産にはさまざまな原因があり、つわりの症状だけで、その可能性を個別に判定することはできません。つわりがないまま妊娠が継続する人もいれば、つわりが続いていても流産が起きる人もいます。
そのため、つわりがないから流産している、あるいはつわりがあるから流産しない、と決めつけるのは誤りです。妊娠初期の流産には、胎児の染色体などに関係する要因もあります。本人がつわりを感じなかったことや、日常生活を送っていたことを原因と考えるべきではありません。
海外の研究では、つわりと妊娠喪失の関連が報告されている
一方、つわりと流産リスクの関係を調べた研究が存在することも事実です。2016年に医学誌「JAMA Internal Medicine」に掲載された研究では、過去に1~2回の妊娠喪失を経験した女性797人を対象に、妊娠中の吐き気や嘔吐と妊娠喪失との関連が分析されました。
その結果、吐き気や嘔吐がある妊婦では、症状がない妊婦と比べて妊娠喪失のリスクが低いという関連が認められました。ただし、対象者は過去に妊娠喪失を経験した女性であり、すべての妊婦さんにその結果をそのまま当てはめることはできません。
また、研究で確認されたのは統計的な関連です。つわりがない人の妊娠が危険であると証明したものでも、つわりを起こすことによって流産を防げると示したものでもありません。
この違いを理解することが大切です。集団を対象とした研究で症状と妊娠転帰の関連が見つかったとしても、目の前の妊婦さんの妊娠が順調かどうかは、症状だけでは決められません。
つわりがない人は何を判断基準にすればいい?
不安を感じたときに優先したいのは、つわりの有無をインターネット上の体験談と比較することではなく、妊娠週数に応じた診察で経過を確認することです。
超音波検査で胎児の成長や心拍が確認されているか、医師から追加の検査や再診を指示されていないか、出血や腹痛などの症状がないかを整理しましょう。診察で確認された内容をもとに判断することが、根拠の薄い情報に振り回されないための現実的な方法です。
【つわりが急になくなった】原因と産婦人科を受診する目安
最初からつわりがない場合と、これまで続いていたつわりが突然なくなった場合では、不安の内容が異なります。特に妊娠初期は、症状の変化に敏感になりやすい時期です。
つわりが急になくなる理由は、流産だけではない
つわりは、一般に妊娠5~6週ごろから始まり、7~12週ごろにピークを迎え、その後は徐々に軽くなることが多いとされています。産婦人科医が執筆する「産婦人科オンラインジャーナル」は、2026年2月15日の更新記事で、多くの人は妊娠16週ごろまでに症状がほとんどなくなってくると説明しています。
ただし、症状が軽くなる時期には個人差があります。吐き気が一日単位で強くなったり弱くなったりすることもあり、体調や食事、睡眠などによって自覚症状が変わる場合もあります。
したがって、つわりが急になくなったからといって、必ずしも流産が起きたとは限りません。妊娠が順調に続いていても症状が軽くなることはあります。
一方、稽留流産などでは、目立った出血や腹痛がないこともあります。症状がなくなったことだけで妊娠の継続を確認することも、問題がないと断定することもできません。
症状がなくなったときの受診目安
つわりの消失以外に気になる症状があるかどうかによって、対応を考えることが大切です。
- 性器出血がある:少量でも妊娠中の出血は産婦人科に連絡し、受診の必要性を確認してください。
- 強い腹痛や続く腹痛がある:流産だけでなく、異所性妊娠(子宮外妊娠)などの可能性もあるため、速やかな診察が必要です。
- 強い腹痛にめまい、失神、冷や汗などを伴う:緊急性の高い状態が考えられます。救急受診を検討し、症状が強い場合は救急車を要請してください。
- つわりだけが急になくなった:それだけで流産と判断することはできません。不安が強い場合は、かかりつけの産婦人科に連絡し、妊娠週数や直近の健診結果を伝えて相談しましょう。
妊娠初期の出血や腹痛には、早期の診断が必要な病気が隠れていることもあります。日本産婦人科医会も、妊娠初期の腹痛では異所性妊娠などを見逃さないことの重要性を示しています。
次回の妊婦健診まで待つべきか迷う場合は、症状が出ていることを産婦人科に伝え、受診時期の指示を受けてください。症状が軽いからといって、自己判断で受診を先延ばしにするのは避けましょう。

【プロの結論】つわりがない人が妊娠中に意識したいこと
つわりがない人に必要なのは、無理に症状を探したり、ほかの妊婦さんと同じ体調になることを期待したりすることではありません。妊娠経過を確認しながら、母体と胎児の健康を守る行動を続けることです。
つわりがないからといって、生活上の注意を減らさない
つわりが軽いと、妊娠前と同じように動けるため、妊娠していることを意識しにくい場合があります。しかし、症状の有無にかかわらず、妊娠中は母体や胎児の健康に配慮した生活が必要です。
- 妊婦健診を継続する:自覚症状がなくても、医師から案内された時期に受診する。
- 食事と水分を確保する:無理な食事制限をせず、バランスのよい食事と十分な水分摂取を心がける。
- 葉酸などの栄養について相談する:妊娠前から妊娠初期の葉酸摂取など、必要な栄養について医師や薬剤師に確認する。
- 飲酒・喫煙を避ける:妊娠中の健康管理として、飲酒や喫煙を避ける。
- 薬の使用は確認する:市販薬やサプリメントを含め、使用前に医師や薬剤師へ相談する。
- 気になる変化を記録する:出血、腹痛、発熱、体調の変化などがあれば、時期や程度を記録して医療機関に伝える。
検索情報は「体験談」と「医学的な判断」を分けて読む
Yahoo! JAPANの検索結果では、ムーニーの「つわりがない人は、どんな人? 特徴とその原因」や、たまひよONLINEの「妊娠しても『つわりがない』けどこれでいいの?」といった記事が見られます。検索する人の疑問は、つわりがない理由だけでなく、赤ちゃんへの影響や流産との関係にも及んでいます。
こうした情報を読む際は、個人の体験談、専門家による一般的な解説、医学研究の結果を区別することが大切です。「つわりがなかったけれど無事に出産した」という体験談は、つわりがない妊娠もあることを知る参考になります。しかし、その体験談だけで自分の妊娠経過まで判断することはできません。
同様に、「つわりがなくなったあとに流産がわかった」という話があっても、症状がなくなった人すべてに同じことが起こるわけではありません。個々の体験と医学的なリスク評価を混同せず、必要なときは診察で確認する姿勢が重要です。
つわりがないこと自体は、妊娠中に必ず解決しなければならない問題ではありません。症状の有無を健康の点数のように考えるのではなく、妊婦健診で得られる情報を判断の中心に置きましょう。
【つわりない人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:妊娠初期につわりがまったくないのは普通ですか?
A1:はい。つわりを経験しない人や、ごく軽い症状で終わる人もいます。約20%という割合が目安として紹介されていますが、調査方法によって差があります。つわりがないことだけを理由に、妊娠経過に問題があると考える必要はありません。
Q2:つわりがない人は、つわりがある人より流産しやすいのでしょうか?
A2:つわりの有無だけで、個人の流産リスクを判断することはできません。海外の研究では吐き気や嘔吐と妊娠喪失リスクの低下との関連が報告されていますが、その結果から、つわりがない人の妊娠に問題があると結論づけることはできません。妊娠経過は産婦人科で確認してください。
Q3:つわりが急になくなったら、すぐに病院へ行くべきですか?
A3:つわりがなくなったことだけで、必ず緊急受診が必要になるわけではありません。ただし、出血や強い腹痛、めまい、失神などを伴う場合は、速やかな診察が必要です。症状がなくなったことへの不安が強い場合も、かかりつけの産婦人科に連絡し、受診時期を相談しましょう。
まとめ:つわりがないことより、妊娠経過の確認を大切に
つわりを経験する人は約80%とされ、約5人に1人はつわりがない、またはほとんど感じないという説明が一般的です。つわりの程度には個人差があり、その原因には妊娠ホルモンや体の反応など、複数の要因が関係していると考えられています。
つわりがないことだけで赤ちゃんの健康状態や流産リスクを判断することはできません。また、つわりが急になくなった場合も、必ずしも流産を意味するわけではありません。ただし、出血や強い腹痛などがあれば、速やかに医療機関へ相談する必要があります。
判断の基準は、つわりの有無ではなく、妊婦健診で確認される妊娠経過と、母体に現れる症状です。不安を感じたときは、インターネット上の情報だけで結論を出さず、かかりつけの産婦人科に相談してください。症状がないことを過度に心配せず、必要な健診と日々の健康管理を続けていきましょう。 (出典: つわり ない 人(Yahoo!ニュース))